ストーリーが生む価値

いやー、ドラマですよね。やっぱり人生を賭けた勝負はドラマですよ。

The Match 2022 「那須川天心 VS 武尊」 本当に素晴らしかった。ここ最近で一番感動したエンタメでした。興行収入も1日で50億円と歴史に残る大イベントでしたね。

魔裟斗 対 KID 以来 こんなに格闘技が盛り上がる日が来るとは思いませんでしたが、なんだか感慨深いです。

はい、ストーリーが持つ価値という話でして。

私、アートが好きなんですが、現代アートってパッと見、意味がわからないわけですよ。今話題のNFTアートの最高額は75億円。バブってますが、この裏にはこの作品の持つストーリーがあると。

https://onlineonly.christies.com/s/beeple-first-5000-days/beeple-b-1981-1/112924?ldp_breadcrumb=back

アート市場で言えば、アート界で強いパワーを持つキュレーター、美術館、アーティスト、ギャラリストなど、彼らが価値があるというものに、お金はついてくる仕組みになっています。しかし、その評価を感覚的にするのかというと、そうではないです。

アートの世界は西洋文化が作った仕組みで動いているので、蓋を開けてみると、ものすごいロジカルな世界なのです。なぜその作品に今、その価値があるのか、そこには多くの文脈が連なっていて、作品にはその価値を裏付けるような批評がしっかりとついています。そこには作品の持つアート文脈での新規性、歴史的背景、作品・作者の持つオリジナル性・世界観(その人しか表現できないもの)、などいくつかの項目によって評価されます。

その西欧文化が作ったルールを徹底的に理解して戦っている日本人アーティストもいます。村上隆さんはその一人で、かつてルイヴィトンとコラボしたり、UNIQLOとコラボしたり、作品の価値をあげるプレゼンテーション、歴史を現代のコンテンツに埋め込む技術、時代を読むセンスなど、抜群にヤバいアーティストです。彼のエポックメイキングとなった作品「My Lonesome CowBoy」を実物で見た時は、あー、この人はやばい人だと感覚的に理解したのを今でも鮮明に覚えています。

日本の伝統技術である仏教美術、日本のお家芸である特撮ヒーローモノで培われたフィギュア作りのノウハウ、世界に魅了するアニメやオタク文化と独自発展した大衆エロ文化、さらに戦後の日本のアメリカに対する劣等感と羨望を含めた歴史観など、一つの作品に幾重もの文脈をぶち込む天才的な概念作品と強烈なビジュアルは、時代を切り開く力をまじまじと感じました。

話がずれてしまいました。何を伝えたかったのかという、作品の裏にあるストーリーを知ると、より作品に価値が出るという話でした。